王子な秘書とシンデレラな御曹司




   疲れた。


もうグッタリ。

あれから

とりあえずは
うちの会社の歴史とか業績とか今の状況とか
全て副社長に理解してもらった……はず。

近くのデリバリーから昼食を運び
ずっと元資料室という
景色の見えない部屋で二人でお勉強。

理解したのだろうか

途中で幸せそうに半分寝てたよな

「寝てません」

「本当ですか?ウソついたら、このブ厚い社史で頭叩きますよ」

「……寝てました」

前途多難。

まだ頑張りますって雰囲気だったので
私は副社長を置いてエレベーターに向かう。

マッサージ行きたい
リンパマッサージ受けて癒されたい。

エレベーター待ちしてる間に
市橋理香がやってきた。
ラストに会いたくない女に会ってしまった。

「あら平社員さん。もうお帰り?」
楽しそうな声。
一時間に一度はメイク直してんだろうな。

「どーも……お疲れさまです」
平社員で悪かったわね。
あんただって平社員だろ。

「早く自分の場所に戻った方がいいわよ」

「どーもありがとう」

「半年後に泣いて出て行く羽目になるんだから」

市橋理香の顔は輝いている。
私はどんな顔をしているのだろうか。

「大きなお世話」
一言残し
私はエレベーターを待ちきれず市橋理香に背を向けた。

高笑いが耳に残る。
アントワネットな女だ!あぁ悔しい。

私は唇を噛みながら
ヒールのまま
非常階段を走って下まで降りて行く。








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