王子な秘書とシンデレラな御曹司

「荷が重すぎます」
さっきまでの可愛い三食だんごが毒だんごに見えてきた。
いけない物でも触ったように、私は手を伸ばして副社長の机の上に戻す。

「重要だからこそ、雅さんに持っていてもらいたいんです」

「無くしたらどうしようって緊張するから嫌です。副社長が保管して下さい」

「だって僕が持ってる方が紛失しますよ」

堂々と胸を張って言うセリフとは違うぞ。
珍しく曲げず強く言うので
仕方なしに手を伸ばしお団子を自分の机の上に戻す。

「これはコピーですよね。他にも……」

「ありません。これだけです」

ないのかよっ!
こんな重要な物がたったひとつとは。

「私がコピーを作っておきますね」
確か机の中に未使用のメモリーがあったはず、机を開くと目の前に副社長の長い手がスッと現れた。

「これは開いてはいけません」

「はぁ?」

「開くと機織りをしている鶴が出てくるか、もしくは白い着物を着た貞子さんがパソコンの画面から出てきます」

くるーきっとくるー……違うだろ。

「副社長のご自宅に隠すとか」

「僕は仕事を家に持ち帰らないタイプなんです」

ドヤ顔で言うな。

「やっぱりコピーを2.3個……」

「雅さん。これは本当に重要機密なんです。できれば雅さんにも見られたくないので、僕との約束として絶対開かないでもらえますか?」

目がマジだった。
今度はすがるような
本気でお願いするような目をしている。

「わかりました」
男気のある秘書としてはそう返事するしかない。
思えばここに来た時から色んな覚悟はできている。

三食だんごのひとつやふたつ
守ってやろうじゃないの!

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