王子な秘書とシンデレラな御曹司

一気に下まで行こうと思ったけど
途中で断念。
企画営業のフロアまで出てからエレベーターに乗り込むと

「雅王子、久しぶりだな」

背の高いイケメンが飛び込んできた。

広報部の同期。高岡 健(たかおか たける)
細長い大きな筒のような物を持ち、爽やかな笑顔。

「健……疲れた」
素直にこんな言葉が出て自分でも驚き
そして相手はもっと驚いていた。

「どーしたお前」

「説明すると長い」

「あと一時間で終わるから、飲みに行くか?」

「……今日はいい」

弱い返事をすると
急に大きな手が私の額に当てられる。
仕立てのよいスーツが良く似合う
その甘い王子様顔は
我が社のイケメン3本の指に入るそうだ。
顔だけじゃなくて仕事もデキるから
女子社員みんなが狙ってる。

私は同期で妙に話も合うので
楽な相手。会社の親友のようなもの。

「熱はないな」

「ないから大丈夫」

「雅王子がそんな顔してると、可愛い女の子達が心配するぞ」

「あはは……」

「いやマジ大丈夫かお前?」

「大丈夫じゃない」

「混乱してる顔だな」

「うん」

「じゃ、どさくさ紛れに言うけどさ」

「うん」

「俺と結婚しない?」

「う……あぁあ?」

密室で大きな声を出してしまった。
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