王子な秘書とシンデレラな御曹司
「結婚するんですよね」
神様、私に勇気を下さい。
彼と別れる勇気を下さい。
わざと私は明るく元気に彼の身体を振り切った。
その腕の中から逃げ
真正面で彼の顔を見上げると、私の明るい表情を見てちょっと驚く。
明るく終わろうよ
泣くのはもうやめよう。
「結婚するんですよね」
もう一度
私は彼にそう言うと「します」と彼はキッパリそう言った。
ほら
やっぱり華子様と結婚するんでしょ。
私の性格上
愛人には向いてない。
「まだプロポーズもしてませんけどね」
ためらいがちに彼は恥ずかしそうに言う。
「まだ?」
「ええ。どんなプロポーズがいいでしょうか」
私に聞かないで欲しい。
こんな状況で聞くなんて
私の事を引き留めて『好きです』って言いながら、華子様にするプロポーズのシチュエーションを導けとな?
なんかもう
啓司さんもお坊ちゃまなんだね。
愛人候補の女にそんな話する?
悲しくなるより
笑うしかない状態になってきた。
「女性はお花をもらうのが嬉しいから、副社長のお好きなお花を用意して指輪を渡せば簡単です」
貼りついた笑顔でそう言うと
「そうします。ありがとう」って彼は笑う。
そうして下さい。
華子様とお幸せに
そして
さようなら。