王子な秘書とシンデレラな御曹司


次の日。
秘書の服装から総務の事務服に着替え
副社長にご挨拶。

もう副社長は私を引き止めなかった。

「コーヒー飲みに来て下さい」

「はい」

「考えたら同じ会社の中にいるんですよね。社食で会えるかもしれません」

「その時はごちそうして下さいね」
そう返事をするけれど
これから忙しくなるんだよ
社長の後継者なんだから
社長に付いてあちこち回らなきゃいけないし
社長に教えてもらう仕事もいっぱいある
社食で会う事もないだろう。

「お世話になりました」

「私こそお世話になりました」

他人行儀に互いに頭を下げ
私は広い副社長室を出る。

振り返らない。

これで本当にさようなら。

涙目になりながら
さようなら重役フロア。もう二度と来ないだろうってジーンとしながらエレベーターを待っていると

「ちょっと顔貸しなさい」

背中から聞こえる鋭い声。
背筋を伸ばしてそーっと後ろを見ると

市橋理香が腕を組んで上から目線で私を待っていた。

最後の嫌味かよーー。解放してよーーー。

逃げられる気配はない。
私はスゴスゴとクロワッサン髪の後ろを付いて歩き。

誰もいない会議室へと連れ込まれた。
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