王子な秘書とシンデレラな御曹司

「デリアナの花です」

輝くような黄色い花。
我が社の名前の花。
副社長のお母様が好きだった花。
社長の愛する奥さまの好きだった花。

ラッパ型の鉄砲百合の花束はとても美しく甘い香りがする。

「竹下 雅さん」
彼は私の目の前で片膝を着き
上着のポケットから小さなベルベッドの箱を出し
蓋を開けて私に捧げると
シンプルだけどカットが綺麗なダイヤの指輪が輝いていた。

「僕と結婚して下さい」

いつもの穏やかな優しい声を出す人が、緊張で張り詰めた声を出す。

息を飲み
周りの同僚達が私達を見つめている。

「雅さん返事は?」

返事?
返事って?

この状態が
何だかよくわからなくなってるよ私。

どっ?どうしたの?どうして?

「あの……」
振り絞るような声を出すけど、その先が続かない。

「YESの返事を下さい」

「いや……無理です」

「ええっ?」
大きな大きな驚きの声が副社長の口から出て

さっきまでのガチガチに緊張した彼の顔が、必死な顔に変わる。

「どうして?」
立ち上がって事務椅子に座る私の肩をブンブン揺さぶる副社長。

いや三半規管弱いから酔うわ
揺らさないで。
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