王子な秘書とシンデレラな御曹司
「理由を言って下さい」
「だって副社長には華子様がいるでしょう。愛人は嫌です」
「愛人ってワードがどっから出てきます?華子様とは期間限定婚約なのでもう解消しました。それに華子様には僕より大切な人がいる」
「え?」
期間限定婚約?大切な人?
「クリスマスの夜。僕は雅さんに言ったでしょう『僕を信じて下さい』って『三ヶ月間僕を信じて下さい』って」
目が必死。
待って待って。
あ……そう言えば……それだ!
私は浮かれていて、その言葉をすっかり忘れていた。
あぁそうだ!それだよ!
ひとり思い出して納得してると
「その一番大切なとこを忘れてた……なんて言いませんよね」
怖い怖い怖い。すんごい怖い顔になってきた。
また目が細く糸になってるし。
「……抜けてました」
正直に言うともっと怖い顔になる。
「雅さん秘書を辞める前に言ったでしょう『結婚するんですよね』って。だから僕はあぁそうなのか、雅さんも早く結婚したいんだって喜んでましたよ」
「あれは華子様との話じゃなかったんですか?」
「僕達の事に決まってるでしょう。子供がデキたかもしれないって話も僕に黙ってるし。結果デキてなかったけど、本当は僕は嬉しかった。デキていてもよかった」
「華子様に『愛してる』って……」
「あれは弟に聞かせただけ。華子様がカメラ目線で言ってたからわかるでしょう」
「だって……」
「だって何?」
だって……だって……。
「雅さんの喜ぶように、花と指輪を持ってプロポーズです。僕は最初からあなただけです。心から愛してる大切な人です。あなたしかいません」
啓司さんの顔がゆがんできた。
まだ私は泣き足りないらしい。