王子な秘書とシンデレラな御曹司
残念ながら タイムマシンはこの時代にない。
あっても
どこでお願いすればいいのだろう。
未来になったら『タイムマシンカフェ』とかできるのだろうか。
手軽にあっちに行ったり
こっちに行ったり
過去を変えて未来を変えたりできるんだろうか
ブツブツと考えながら現実逃避。
『私が副社長をこの会社の後継者にしてみせます!』
昨日
勢いに任せて
言っちゃったよね私。
自分の言葉に責任を持とう。
敵は多いけど精一杯頑張ろう。
元資料室の前に行くと
資料室のプレートの上に【副社長室(岸本啓司)】と、マジック書きで紙が貼られていた。
手書きかよ。
悲しい話だ。
でも自覚を持つのはいい事だ。
前向きに対処しよう。
気を取り直し
「おはようございます」と、元気に明るく扉を開けると
「おはようございます」と、泣きそうな声が届く。
自分の机で書類の山に埋もれ
ネクタイを緩め
メガネの奥を充血させながら
ボサボサ頭の副社長は泣きそうな顔で私を見つめた。
今日は白衣じゃないのね
そこだけ褒めてあげましょう。
いや……ちょっと
そんなすがったような目で見ないでおくれ。
「少し遅れてすいません。総務部長に呼ばれてましたので」
「竹下さん」
「はい」
「……帰りたい」
それは私のセリフだ!