王子な秘書とシンデレラな御曹司

華子様の話によると

華子様は周りから縁談を持ちかけられていたらしい。

家でも会社でも
早く結婚して落ち着くように言われていたけれど
本人は今の状態がベストであり
知らない男と結婚する気は、これっぽっちもなく困っていたそうだ。

ある程度
無視していたけれど
清香さんが華子様のご両親から
『誰かいい人を見つけて欲しい』と言われ、華子様の命令に背くけれど、子供の頃に引き取ってもらった恩もあるので、迷ったあげく華子様に内緒で、私達が最初に出会った場所に華子様のお相手を探しに潜入したらしい。

「清香さんの勝手な行動だったのですか?」
可愛い顔して
度胸あるのね清香さん。

「そうだ。人を遠乗りに行かせておいて、自分はそんな場所に乗り込んだ」

「大変でしたよ。華子様と間違われて御曹司達に狙われて、細い肩をガタガタ震わせて怖がって……」

「清香は黒帯だ」

「はぁ?」

「柔道と空手は師範代を持っている」

あんぐりと口を開けてアホ面している私をよそに、華子様は「コーヒーがまずい」とボーイを読んでペリエを注文した。

「清香さんがですか?」

あんなに怖がって震えていたのに?

「そうだ。心配はなかった。あの後は興奮していたな『勇気のある素敵な方がおりました』って」

「それが啓司さんですね」

「らしい。まぁ……ほとんど雅に助けてもらったと言ってたが」

たしかに。
啓司さんはへタレてたけど
一応男として私と清香さんを守ってくれた。

気持ちが大切ですって

いや清香さんっ!

読めない女だ。恐ろしい。





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