王子な秘書とシンデレラな御曹司

そして華子様は誰でもいいやって気持ちで、我が社にやって来て啓司さんと付き合う宣言したけれど

その夜
啓司さんは華子様に
こっそり会いに行き謝ったそうだ。

自分には好きな女性がいて
彼女と一緒になりたいので、華子様とお付き合いはできないと……。

啓司さんごめん。
私はこんなに想われてるのに
何も知らなくて
ひとりでヤキモキしてた。

さりげなく反省する私。

華子様は自分を拒否する男を初めて見て、興味を覚えたようだ。
そしてふたりは色々話をして
啓司さんが無事に後継者として選ばれるまで、付き合って婚約者のふりをしようと話を進めた。

啓司さんにとっては
華子様が婚約者なら弟より一歩リードできるし
後継者争いに有利になり

華子様にとっては
婚約者がいるだけで周りはうるさく言わず
落ちつくだろうと判断する。

互いにプラスになる
期間限定ニセモノ婚約者。

「部屋にカメラと盗聴器があると聞いたので、あえて愛の言葉を言ってみた」

はい。
カメラ目線で『愛しているぞ』ですね。
相手側が焦っていてよかったです。
あれは普通に考えたらバレバレかもしれません。

「啓司は雅の話ばかりしていた」
華子様は運ばれたペリエを手にして楽しそうに言う。

「雅の事が大好きで。啓司をからかうのは楽しかった。電話で『雅の事を愛してるのか?』と聞くと恥ずかしそうな声で『心から愛してる』と言ってたぞ」

デジャブ。
そのシチュエーションどこかで覚えがある。

あ、年明けの職場で啓司さんが照れながら言ってた気がする。

あれは華子様の話じゃなくて
私の話だったの?

なんというか
今さら話が見えてきたかもしれない。






< 221 / 245 >

この作品をシェア

pagetop