王子な秘書とシンデレラな御曹司
「雅が心配するものは何もない。啓司は雅を愛してる。雅も啓司を愛しているのだろう?問題ない」
説得力ある華子様に言われると
ジーンときてしまう。
「ありがとうございます」
「幸せになれ。ふたりの子供は助産師の資格を持つ清香が取り上げる」
いやちょっと待って!
「私も立ち会う」
なんでーーー?
真顔で言う華子様に「まだ籍も入れてないし、子供もデキてません」と必死で説明すると、つまらなそうな顔をされてしまった。
「今日は清香さんは?」
「コスタ・ブラバにホテルを建てる計画があって、クレーン車に乗って穴でも掘ってるだろう」
コスタ・ブラバってどこ?
パスタ屋さん?
清香さん。あの小柄な身体でクレーン車……前が見えるのだろうか。
「私もそろそろ清香の元へ行かねばならない。啓司によろしく伝えよ」
「はい。今日はありがとうございます」
黒いレースも美しいゴズロリドレスを着こなした華子様を見送る寸前、私はどうしても聞きたい事を遠慮がちに口にする。
「華子様」
「なんだ?」
「啓司さんが言ってました。華子様には大切な方がいらっしゃると」
「啓司が?」
華子様は苦笑で目をそらして遠くを見つめた。
やっちゃったかな私
答えたくない質問だったかな。
「すいません変な話をして。忘れて下さい」
大きなお世話だよね。
すいません。
「啓司は全てお見通しだな」
ハスキーボイスが切なく私の耳に響いた。