王子な秘書とシンデレラな御曹司

「総務の仕事はどうですか?」

「忙しいけど楽しくやってる……けど……」

「けど?」

「なんでもない」

「言いなさい」

なぜに上から?

「みんなが、私を姫って呼ぶようになった」
口をとがらせてボソボソ言うと
啓司さんは爆笑する。

「笑わないでよ。誰のせいだと思ってるの?」

「ごめんごめん」
謝りながらまだ爆笑してるし。

ずっと『雅王子』と呼ばれていたのに、啓司さんがあの場で『雅さんは僕のお姫様』的な発言をした為、あのプロポーズ以来、私の呼び名は『姫』で定着。

あぁ恥ずかしい。

「啓司さんはどう?新しい秘書はどうですか?」

「色々……キツい」
遠い目をして彼は言う。

啓司さんの新しい秘書は市橋理香となる。

クロワッサンな彼女は社長直々に『厳しくやって欲しい』と命令を受け、彼を私より厳しく育てているそうだ。

「雅さんに戻って来て欲しい」

「仕事にならないでしょう」

「たしかに」

市橋理香なら大丈夫。
彼女が後任になった話を聞いた時、私はそう思った。

彼女は問題はあるかもしれないけど
秘書としてのプライドも高く
自分のボスを一番に考えてくれる。適任だ。
< 228 / 245 >

この作品をシェア

pagetop