王子な秘書とシンデレラな御曹司
「総務の仕事はどうですか?」
「忙しいけど楽しくやってる……けど……」
「けど?」
「なんでもない」
「言いなさい」
なぜに上から?
「みんなが、私を姫って呼ぶようになった」
口をとがらせてボソボソ言うと
啓司さんは爆笑する。
「笑わないでよ。誰のせいだと思ってるの?」
「ごめんごめん」
謝りながらまだ爆笑してるし。
ずっと『雅王子』と呼ばれていたのに、啓司さんがあの場で『雅さんは僕のお姫様』的な発言をした為、あのプロポーズ以来、私の呼び名は『姫』で定着。
あぁ恥ずかしい。
「啓司さんはどう?新しい秘書はどうですか?」
「色々……キツい」
遠い目をして彼は言う。
啓司さんの新しい秘書は市橋理香となる。
クロワッサンな彼女は社長直々に『厳しくやって欲しい』と命令を受け、彼を私より厳しく育てているそうだ。
「雅さんに戻って来て欲しい」
「仕事にならないでしょう」
「たしかに」
市橋理香なら大丈夫。
彼女が後任になった話を聞いた時、私はそう思った。
彼女は問題はあるかもしれないけど
秘書としてのプライドも高く
自分のボスを一番に考えてくれる。適任だ。