王子な秘書とシンデレラな御曹司
まだ半分残っているコーヒーを処分して
足取り重く職場である副社長の元に戻ろうとすると
「ヒマそうね。総務の社員さん」
重役フロアで市橋理香に言われてしまった。
白いAラインワンピースの上に軽くピンクのカーディガン。
隙のないナチュラルメイク。
「忙しいですよ秘書は」
「秘書?」
綺麗に巻かれたセミロングの髪を見てクロワッサンを思い出す。
その艶は卵の黄身でテカらせてる?
「私達と一緒にしないで。あなた秘書の仕事を理解していて?」
「……がんばってるわよ」
「自分のボスの仕事を先回りして、スムーズに心地よく効率を上げるのが仕事なのよ。あなたを見ているといつもバタバタしていて品もなくてイライラする。早くダサ男と一緒に出て行きなさい!」
頭をガツンと殴られた気分。
悔しいけど正論かも。
私は頑張ってるけど……頑張るだけじゃダメなんだ。
反論もできず
自分に対する怒りを鎮めながら、彼女の前から逃げた。
そのとーりだもん。
勢いはあるけれど内容が伴わない私。
今だって
副社長を置いて部屋を出てしまったし。
ごめん副社長。
一番に心細いのは副社長だよね。
いつも私は怒ってばかりで、話しかけるだけでビビらせちゃうし。
しょぼんとしながら
部屋の扉をノックしようとすると
「あっあーーーっ!」
扉の中から叫び声が聞こえてきた。
どうした?
今度は何をやらかした?
「失礼します!」と、慌てて部屋に入ると