王子な秘書とシンデレラな御曹司
目の前で名刺の束が宙を舞う。
イリュージョン?
「たっ……竹下さん」
ヤバいって顔をして私を見てから
大量なる名刺を回収。
「どうしたんです?」
近寄り床にバラまかれた名刺を一緒に回収。
「名刺を整理しようとしてたんです」
副社長になってから
色んな人から名刺をもらって名刺ホルダーもパンパン。
「夜の会食まで時間もあるので」
「ですね。今日は珍しく余裕がありますね」
軽く返事をしてから
ふと名刺の裏に目をやれば
鉛筆書きだけど
その名刺の人の特徴や仕事内容。印象などが書いてあった。
あれ?これって凄い。
思わず他の名刺の裏も見ると
あ……全部書いてる。
もらった人の全ての裏側に小さく色々書いてある。
ひとりでこんな事してたんだ。
「すごいですね。これって」
集めた名刺を副社長に渡して、感動しながらそう言うと
「大した事じゃないです」
落ちそうな眼鏡をクイッと動かし
恥ずかしそうに小さく返事。
照れてる。
可愛いな……え?可愛い?
どうした私!市橋理香にガツンと言われて頭が混乱したのか?
しっかりしなきゃ。