王子な秘書とシンデレラな御曹司

「整理は私がやります」

「いいですよ。竹下さんは他の仕事して下さい」

「これも私の仕事ですから。五十音順でよろしいですか?」

「はい。お願いします」
嬉しそうに副社長は返事をしてエスプレッソマシンに手をかける。

「自宅で新しい豆を焙煎したので、竹下さんと一緒に飲もうと思い持って来ました」

仕事より楽しそうに副社長は動き出す。
これが彼の息抜きと知る。

「楽しみです。副社長が入れるコーヒーが美味しくて、自販のコーヒーが飲めなくなりました」

「本当ですか?嬉しいです」
子供のように喜んでる。
やっぱり可愛い……違う違う!仕事に集中せねば。

手書きのメモに感心しながらホルダー整理。

そうそう
この社長は鉄道好きって言ってた
この重役はお孫さんが産まれたって
この会社はこれから急上昇とか
この会社は要注意とか
あぁこの人は髪が薄かった……そこまで書くか。

スッといい香りが背中に流れる。

「竹下さん。すいません」

「と、言いますと?」
美味しいコーヒーを差し出され、聞き直す私。何かやらかした?

「僕がこんなんだから、竹下さんに迷惑かけてしまって」
本当に申し訳なさそうに謝られてしまった。

「何を言います。違うんです。私こそごめんなさい。私は秘書の仕事をゼンゼンこなしてなくて」

「一生懸命やってますよ」

「やってません。副社長が安心して仕事に打ち込めて、先回りして副社長の歩く道を歩きやすくしなければいけないのに……私は……役に立ってません」

言葉にすると
もっと落ち込みそう。
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