王子な秘書とシンデレラな御曹司
もちろん
田崎専務が俺様副社長と手を組み
海外企業と合併吸収をもくろんでいる内容は言えない。
総務部長に頼まれ
長男である副社長のお世話をする事になった話。
研究者だったせいか
人はいいけど
ちょっと変わった人……いや、かなり変わった人って話。
弟の俺様イケメンに負けてる話。
でも私としては力になって
どうにかこの半年で社長の後継者にしたい話。
などなど
「重役フロアにだけど、資料室が部屋なんだよ。秘書課にも私は嫌われてるしさ」
「あそこ天国だぞ。みんな綺麗で俺に超優しいもん」
「人を見るの。資料とか伝達とかさー。こっちに連絡入るのが一番最後。いつもギリギリ」
「他の奴らは、あっちの副社長派なんだろう」
「たぶんね……」
今、勝負をつけるとすれば
うちの副社長は完璧負けてる。
「でもなー……」
健はふっと目線をずらし
思いついたように話し出す。
「お前の方じゃない俺様副社長の方だけど、裏がありそうな顔してるよなー」
さすがタケル王子。目の付け所が違う。
合併吸収される話ができないのが残念だよ。
「でも、一番大切な話はさ。そこじゃないんだよ。私の仕事の姿勢なんだよ。ただ一生懸命自分で頑張ってきたつもりだけれど、それじゃダメで。秘書の基本の姿勢がなってなかった。私は副社長を怒ってばかりで、ほめてもツボが違ってるから上手くいかなんだけどさ、もっと……」
とりとめのない
自分で話をしていてもグタグタ内容だ。
自己嫌悪しながら健に話すと
「雅」
笑って健は私の名前を呼び
テーブルにのせていた手をそっと優しく包む。
大きな温かい手。