王子な秘書とシンデレラな御曹司
「駅まで送るわ」
ワリカンで店を出ようと思ったら、健のおごりだった。
「ごちそーさまです」
「次はお前な」
頭を突っつかれた。
私達は並んで店を出て歩く。
背の高い健だから
私も堂々とヒールを履いて背筋を伸ばす事ができた。
女子としては背が高いので
たまにヒールを履くと、男性の身長を追い越してしまうパターンもあるので気を使ってしまう。
気を使わないで
並んで歩けるって嬉しいな。
細い路地を歩くのも
隣に男性がいるから。
ひとりじゃ近くてもここは歩けない。
隣に誰かいるって……いいね。
明るい歩道に出る一歩手前で、私は急に肩をつかまれ動きを止められた。
「健?」
彼の名前を呼ぶと
スッと目の前に影が広がり
健の吐息がすぐ近くまで感じられた。
彼の唇が私の頬をかすめ
静かに私の唇と重ねようとしている。
「嫌だよ」
反射的にグーで健の頬をネコパンチ。
健は笑って「残念」と言い
眩しいほど明るい歩道に出てからタクシーを停めた。
「ほら乗れ」
「ありがとう」
「今日の話は本気。さっきのキス未遂も本気。俺はお前がずっと好き。幸せにする。以上」
「以上って何よ」
「お前は今、仕事でいっぱいいっぱいだろう。俺の入るスペースある?」
「窓ガラス一枚分くらいなら」
「あっそ」
子供のようにムスッとした表情に私は笑い
私の笑顔を見て彼はホッとする。