王子な秘書とシンデレラな御曹司

電話の相手は懐かしの総務課。
うちの副社長の乗る公用車の手配の確認

『雅王子がいなくて寂しいです』

本心だったら嬉しいよ後輩。
私も早く使命終わらせて総務に帰りたいよ。

『はい11時半ですよね。予約なってますが、その時間でいいのですか?』

受話器から聞こえるその言葉に
なぜか背中がゾクリとした。

「と、言うと?」

『社長と敏明副社長は、10分前にお出になられましたけど』

「へっ?」

『相手側の都合で時間が変更になりました。そして通るルートで交通規制があり早めに出ました』

「……聞いてない」
血の気が一気に下がり
身体中が冷たくなってきた。

「部長はいる?」

『出てます』

「わかった。ありがとう」

頭がガンガンしてきた。
これが事実なら……どうしよう。

震える手で受話器を戻していると

「竹下さん大変だ!」
副社長の大きな声が背中に響く。

「敏明がいない。秘書の市橋さんもいない」

副社長は焦る様子を見せながらスマホをポケットから探り、落しそうになりながら指を動かして耳元へ持って行くけど……相手は出ないようだ。

「敏明が出ない」
唇を噛み
大きなタメ息をして副社長は苦しそうにそう言った。



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