王子な秘書とシンデレラな御曹司

急に身体の力が抜けてしまった。

もう立ち上がる元気がないわ。

ぼーっとしながら
楽しそうに会食場に移ろうとしている副社長達を見ていたら
背中から冷たい風が吹いてきて
人が入って来た気配を感じた。

観葉植物の陰からそっと見ると
うちの社長を先頭に
俺様副社長と秘書の市橋理香の姿だ。

おっし!ママチャリの勝利。
Yes we can!

社長はいつものポーカーフェイスの無表情だけど
俺様副社長と市橋理香は焦っていた。

ふふふ
焦りなさい。焦りなさい。

もうお相手のお偉いさんの皆さんは
うちの副社長と先に会場へ行きましたよ。

みなさん遅いんじゃない?って
市橋理香のクロワッサンな髪を引っ張りたいけれど

指切りしちゃったから……ガマンしなきゃ。
すぐ熱くなる私の性格がバレてるんだね。

それに
今回は私のミスだから。

間に合ったからよかったものの
間に合わなかったら……ゾッとする。

深く深く反省しなければいけない。

でも
非常事態とはいえ

副社長と自転車2人乗りしたんだね。

その背中は
広くて温かくて安心できた。

『雅さん』って……名前で呼ばれた。

どうしちゃったんだろう私。
そんな事考えるなんて

なーんか
調子が狂ってる。

一人前の副社長に育てる。

それが私の使命。








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