王子な秘書とシンデレラな御曹司

「副社長のコーヒーを覚えると、他では飲めなくなりますね」

酔い覚ましには最高ですわ。

「ありがとうございます。雅さんに褒めてもらうと最高に嬉しいです」

目を輝かせて言う副社長。
ホントに好きなんだね。
後継者争いに負けたらカフェ開店で決定だな。

「週末もお仕事を?」

「ええ」
当然って感じのお返事。

「お身体こわしますよ。たまに休まれないと」

「覚えることがいっぱいありますし、僕は意外と丈夫なんですよ。ここに来る前も休みの日は、研究所でデーター取ってるので休みは必要ないんです」

典型的な仕事人間!

「雅さんはどうされました?」

「あ、忘れ物をしまして」
手帳を見せると副社長は優しくうなずく。

「祖母の写真が挟まっていて、手元にないと落ち着かなくて」

「おばあ様の?へぇ見せて下さい」

「たいした写真じゃないんですけど」

革張りの手帳を開き
私は一枚の写真を副社長に渡す。

ふっくらとした70代の女性が旅先で微笑む写真。

「雅さんに目元が似てますね」

「そうですか?」

「優しそうな方です」

「はい。優しい人でした」

「今はお元気で?」

「昨年亡くなりました」
私が遠慮がちにそう言うと
副社長はとっても申し訳なさそうな顔をして私に頭を下げる。

「すいません。変な事聞いて」

「いや。そんなそんな」
逆にそんな困った顔されるとこっちが恐縮してしまう。
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