王子な秘書とシンデレラな御曹司

「悲しかったでしょう」

そうか
副社長は子供の頃
お母さんを亡くしてるんだっけ

「病気だったので覚悟はできてました。家族みんなで看取れましたし」

「ご家族は?どちらに?」

「香川県です」

「僕は讃岐うどんが大好きなんです。年越しはうどんに変更してほしいぐらいです」

また目が輝いてるし

「雅さんを見てると、いいご家族に育てられてきたんだなぁって思いますよ」

「普通です」

「普通が一番なんです」

ちょっと遠い目をして副社長はコーヒーを口にする。

「僕の母親は3歳で亡くなりました。身体の弱い人で僕を産んでからまた弱ってしまい。父は僕を恨んでるのかもしれません」

「そんな事ないですよ」
子供を恨む親なんていないでしょう。

「うちの会社の名前。デリアナ化粧品って変な名前でしょう」

「変わった社名ですよね」

「前は岸本化粧品でしたが、父の代になって名前を変えました。デリアナって花の名前なんですよ。百合の花の名前で母が大好きな花でした」

だから社のロゴマークも百合なのか。

「父は母を愛していたんでしょうね。でも母が亡くなって……奥さんが必要になって今の敏明の母親が家に来ました。僕は子供ながら楽しい家庭にしようと、寂しいけれど新しい母親に慣れようと仲良くしようと思ったけれどダメでした。ですよね、彼女からみれば僕が邪魔ですよね」

過去を話しても変わらない
でも口にすると軽くなる
そんな気持ちが伝わってくる過去話。

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