王子な秘書とシンデレラな御曹司
「父は仕事人間で家にいないし。僕の面倒は義務的にお手伝いさんが見てくれて、不自由はないけど寂しかった。新しい母親は自分の子供ばかり可愛がって僕の存在を無視していました。父も新しい母に強く言えなくて……あ、変な話ですね。すいません」
「いえ。大丈夫です。でも副社長はすごいですよね。語学に強いし博士号まで持ってるなんてすごいです」
色んな人に会ってきたけど
ここまで賢い人は初めて会う。
「ほめてもらいたかったんです」
少しだけ寂しそうな顔が印象的だ。
「家族に認めて欲しかった。それだけなんですよ。子供みたいでしょう。バカみたいですね」
「そんな」
「変な話をしてすいません。おかわりどうぞ」
副社長は飲み干した私のカップを手にして、ソファから立ち上がった。
甘えたい時に甘える人がいない
孤独な子供時代だったのか
かわいそう。
「副社長ってシンデレラみたい」
「シンデレラ?」
「そう。境遇が似てません?」
「なるほど」
おかわりコーヒーを渡し
副社長はまた私の隣に座る。
「魔法使いと王子様はいつ出てきます?」
軽い口調で私に問う副社長。
ボサボサの柔らかい髪
優しい優しいまなざし
冬の灰色の空に負けないくらい
温かな柔らかい微笑み。
「魔法使いは……」
「いつですか?」
そっと肩が触れて
そっと目線が絡まる。