王子な秘書とシンデレラな御曹司

副社長は私の手からカップをまた奪い
テーブルの上に置いてから
身体の重心をずらして私に向ける。

視線は絡んだまま

彼の微笑みは終わり
表情が変わる

空気の流れが止まり
時間が止まった気がした。

私は何をしてるのか
副社長は何をしようとしてるのか

思考不能な私

きっと彼もそうだろう

静かに静かに
唇が引かれ合う

重力が彼と私の真ん中にあり引力になる。

柑橘系の香りが近づいた時
目を閉じて彼の香りを味わう。

冷たいメガネのフレームが頬骨にあたり、唇の角度を上にする私。

愛しい愛しい人

あなたの頑張りは私が一番見ている

私がたくさんほめてあげる。

抱きしめて
キスして
心の隙間を埋めてあげる

孤独な心を癒してあげる

優しいキスを……



その時

私のポケットで大きな着信音が鳴る。

「うわっ!」

「あっ……ああーーっ!」


慌てて我に返った私達。

もう顔面蒼白で一気に離れる。

「もっ!もしもしっ!もっ……もも……ももも……もしっ!」
スマホを持つ手が震えてしまい、指が上手にスライドできない。

繋がないまま耳元へ持ってワケのわからない言葉を出してる間に、電話は切れてしまった。





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