王子な秘書とシンデレラな御曹司
「あの輪の中に入るのです」
「敏明もいるし定員オーバー帰りましょ」
クルリと後ろを向いて帰る用意。
「いけません」
「何を話していいかわかりません」
「世間話でいいんですって、男は行動」
「世間話って何?」
「得意のフランス語で会話してらっしゃい。ボンジュールとかシルブ……ブブブ、ブブレーンとか」
「どこの言葉ですそれ?」
「グタグタ言わずに行ってらっしゃい!」
あまりにも動きが悪すぎる!
イラついた私は副社長の背中を思いっきり押して、御曹司の輪に入れてからその場を逃げる。
ライオンの親は子供を谷に突き落とすっていうよね
それです。
副社長は素早く振り返り
すんごい嫌な顔をして私を見てから
覚悟を決めたように輪に加わって、作り笑顔を見せていた。
よしよし。
つかみはオッケー。
輪の中に入りました。
初戦突破。
背の高い外人さんの陰に隠れてジッと見守る私。
会話は聞こえないけれど
なんとなく雰囲気はわかる。
俺様副社長がうちの副社長に何やら言ってる。
他の御曹司がさりげなく笑ってるし
また弟に何か言われてるな。
言い返せーーー!
負けるなーーー!
だからヘラヘラ笑顔はいらないっつーの。
もう俺様な弟も他の御曹司もいいよ
かまわなくていいから
お嬢様とだけ会話してちょうだい。
祈るような気持ちで見守ってると
あれ?
やっぱりお嬢様の様子がおかしい。
私は一歩前に出て
会話がうっすら聞こえる場所に移動する。