王子な秘書とシンデレラな御曹司
「お嬢様は御気分がすぐれません。帰ります」
逃げるが勝ち。
前に進もうとした瞬間
「平民は下がれ」
俺様御曹司が吐き出すようにそう言った。
平民という言葉に周りがザワつき、冷たい視線を一気に浴びる私。
集団心理が大きく動くと
それは暴力。
「庶民かよ」
「どーりで」
「どっから忍び込んだ?」
あきらかにバカにしている
自分達とは次元が違う。
こいつはイジり倒して
脱がせて乱暴して殴っても大丈夫
そんな視線が私にまとわりつき
手を出す対象が
彼女から私になった。
「可愛い顔してんじゃない?」
「邪魔だからあっちで遊んでやろうか」
いやらしい笑いが私の背筋を冷たくさせる
怖い。
身動きとれずに立っていると
「雅さんに手を出すな」
副社長が叫びながら輪の中に割り込み、彼女と私の前に出る。
あぁありがとう副社長。
でもね
勝ち目ないかも。
私達三人は追い詰められたネズミのように壁際に貼りつき、鍛えている御曹司達のニヤケた笑顔に囲まれる。
誰も止めようと思わないようだ。
退屈なお茶会のイベントのようなものなのか。
私はお嬢様をかばい
副社長は私をかばう。
どうなるんだろ私達。
御曹司達の目が怖いよ。
残酷な事をされそうだよね。半分涙目になっていると……。
扉の方でドーンと何かが引っくり返る大きな音と、グラスと陶器が割れる音と人々の叫び声と馬の鳴き声が聞こえた。
馬?……え?馬ぁ?