王子な秘書とシンデレラな御曹司

「華子様」
私の隣でお嬢様が涙をポロポロ流しながらホッとした顔を見せていた。

私は副社長と前を見ると


人々の姿が二つに分かれ
その真ん中の道には

馬に乗った女性がひとり。

うま?やっぱり馬?
この都会の一つ星レストランに……馬?

「待たせたな清香。ん?どうした?泣いているのか?」

その女性は凛とした声を出し
姿勢を正しながら馬から降りて私達の前に立つ。

背の高い女性だった。

真っ黒の乗馬服は襟が細い三つ揃い。
ひざ下までのブーツが細くてカッコいい。
小さくHと書いた文字
エルメス?エルメスの乗馬服?
そりゃエルメスは乗馬メーカーだったけど……初めて見たエルメスの乗馬服。

ストレートの真っ黒な髪は背中まで伸び
目は青い
青?外人さん?いやカラコンだ。
マスカラがピンク?
いやちょっと待って何この人。

「どうした清香」
低く迫力のある声。

そう
とってもとっても
怖いくらい迫力のある女の人。

怖すぎて目が離せない。

「誰かにいじめられたのか?」
ホールに響く大きな声を上げながら、その女性は周りを見渡す。

あまりの迫力に私をいじめていた御曹司達も黙りこみうろたえていた。

「私の清香をいじめるとは、いい度胸してる奴らだ」

女性は冷たくそう言って
片手に持ってる乗馬のムチを大きく振り上げテーブルを打つ。
その鋭いムチの音が恐怖を呼び
他のお嬢様たちが叫び声を上げ会場はパニック状態となる。

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