王子な秘書とシンデレラな御曹司
だから私はバカだと思う。
正直すぎるおバカな女の子。
「……ダメ」って小さく返事をすると、健は声を出して溜め息をした。
「キスしていい?」
「ダメ」
「男らしいなぁお前は。どっちつかずで俺に返事して上手くやれよ」
そう言いながら私から手を離して彼は一歩下がった。
「不器用でごめんね」
「俺こそ悪かった。つい先走った。ずっとお前の返事を待つ予定が、あんな事……言うつもりじゃなかったのに悪かった」
「いいの」
誤解されたままかもしれないけれど
逆に
これからの事を思うと
このまま誤解させておいた方が、いいのかもしれない。
「応援しないけど頑張れよ」
「結果は見えてるけどね。私の片想いで終わるけどさ」
「それでも好きで、フラれても俺の所へ来ないんだろお前は。最初からそのつもりだろーが」
「長い付き合いって怖いわ。お見通しだね」
「傷口に塩ぬるタイプだなお前は」
健は笑って私の頭を軽く叩く。
「もう普通の同期だな」
「……ごめんね」
「謝るなよ。男にはプライドがあるんだぞ」
「また同期のみんなで飲みに行こう」
「そうだな」
健は私から目線をずらし
少し遠い方向を向いてからそう言った。
「健……」
「副社長の自慢のコーヒー飲むの忘れた。また仕事の話で来るからよろしく」
「了解です」
「じゃ」
軽く手を上げてから
健は先に部屋を出て行った。
ごめんなさい。
そして
ありがとう。