王子な秘書とシンデレラな御曹司

だから私はバカだと思う。
正直すぎるおバカな女の子。

「……ダメ」って小さく返事をすると、健は声を出して溜め息をした。

「キスしていい?」

「ダメ」

「男らしいなぁお前は。どっちつかずで俺に返事して上手くやれよ」
そう言いながら私から手を離して彼は一歩下がった。

「不器用でごめんね」

「俺こそ悪かった。つい先走った。ずっとお前の返事を待つ予定が、あんな事……言うつもりじゃなかったのに悪かった」

「いいの」

誤解されたままかもしれないけれど

逆に
これからの事を思うと
このまま誤解させておいた方が、いいのかもしれない。

「応援しないけど頑張れよ」

「結果は見えてるけどね。私の片想いで終わるけどさ」

「それでも好きで、フラれても俺の所へ来ないんだろお前は。最初からそのつもりだろーが」

「長い付き合いって怖いわ。お見通しだね」

「傷口に塩ぬるタイプだなお前は」

健は笑って私の頭を軽く叩く。

「もう普通の同期だな」

「……ごめんね」

「謝るなよ。男にはプライドがあるんだぞ」

「また同期のみんなで飲みに行こう」

「そうだな」
健は私から目線をずらし
少し遠い方向を向いてからそう言った。

「健……」

「副社長の自慢のコーヒー飲むの忘れた。また仕事の話で来るからよろしく」

「了解です」

「じゃ」

軽く手を上げてから
健は先に部屋を出て行った。


ごめんなさい。

そして
ありがとう。



< 98 / 245 >

この作品をシェア

pagetop