落ちてきた天使
「ちゃんと説明したい。だから、耳塞がないで聞いて」



真っ直ぐに私を見つめる皐月。
コクンと静かに頷くと、皐月は心なしかホッとしたような表情を浮かべて木の幹に座り直した。


緊張する。
どんな話なのか想像つかない分、凄く凄く怖い。

聞かないで済むなら聞きたくない、でも知りたい。



分厚い雲の隙間から神々しい満月が顔を覗かせ、皐月の横顔に月光が当たる。

さっきよりもはっきり見えた皐月の憂いを帯びた表情。

そして、発せられた言葉は、私の胸を引き裂いた。





「三橋佳奈恵は俺の婚約者だ」






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