だって、キミが好きだから。


先生の見解では、結局もう少しだけ様子を見ようということだった。


なかなか手術に踏み切れないのは、やっぱり脳へのダメージを考えてのことらしい。


大きな血管が腫瘍に巻きついているそうだ。


手術をしてその血管を傷付けてしまい出血が起これば、命を落とす確率が高いと言われた。



手術をするリスクを考えると、記憶を失う方がまだ良いということで、もう少しこのまま様子を見たいとのこと。


聞いてて胸が張り裂けそうだった。


怖くてたまらない。


死ぬかもしれないだなんて、そんなことはまったく考えてなかったから。


あたし……大丈夫なんだよね?



今日は何だか学校に行く気がしなくて、お母さんに言って休ませてもらった。



家に帰ってから、まず日記帳を開いて病院でのことを日記に記した。



夜には琉衣から電話があって、あたしを心配してくれていることが伝わって来る。



「メール返って来ねーし、なんかあったのかと思った」



「ごめんね。病院に行って少し疲れたの」



「いや、菜花が無事ならそれでいいから。それより、明日なんだけど」



「うん?」



急にかしこまったような声を出す琉衣に疑問を感じた。


< 222 / 343 >

この作品をシェア

pagetop