だって、キミが好きだから。
先生の見解では、結局もう少しだけ様子を見ようということだった。
なかなか手術に踏み切れないのは、やっぱり脳へのダメージを考えてのことらしい。
大きな血管が腫瘍に巻きついているそうだ。
手術をしてその血管を傷付けてしまい出血が起これば、命を落とす確率が高いと言われた。
手術をするリスクを考えると、記憶を失う方がまだ良いということで、もう少しこのまま様子を見たいとのこと。
聞いてて胸が張り裂けそうだった。
怖くてたまらない。
死ぬかもしれないだなんて、そんなことはまったく考えてなかったから。
あたし……大丈夫なんだよね?
今日は何だか学校に行く気がしなくて、お母さんに言って休ませてもらった。
家に帰ってから、まず日記帳を開いて病院でのことを日記に記した。
夜には琉衣から電話があって、あたしを心配してくれていることが伝わって来る。
「メール返って来ねーし、なんかあったのかと思った」
「ごめんね。病院に行って少し疲れたの」
「いや、菜花が無事ならそれでいいから。それより、明日なんだけど」
「うん?」
急にかしこまったような声を出す琉衣に疑問を感じた。