偽悪役者
「岨聚様。」


「お久しぶりです。」



岨聚が会場に入ると、次々と挨拶が交わされる。


同級生から先輩後輩、先生まで。


まるで、媚びを売るかのように。



「これより、詠継祇ヶ丘中学校の同窓会を始めたいと思います。」



午前11時、司会により同窓会が開始した。



「岨聚、これ美味しいよ。」


「あらほんとね。琅提も食べたら?」


「あ、ありがとう。雅、ケチャップ付いてる…」



岨聚は同級生で銀行の窓口担当でもある、面倒見の良い姉御肌の蒜崖雅(ヒルガイ ミヤビ)と大人しくも世話好きな伽虐琅提(カギャク ロウサ)とバイキング形式の食事を楽しんでいる。



「玲斗、最近どうよ?」


「どうって、特に変わりないよ。」



「相変わらずガキ共の相手かよ。」


「ガキって…患者だから。」



銀行の支店長をしている千影鏡鵺(チカゲ キョウヤ)と診療所の小児科で研修医をしている織端玲斗(オリハタ アキト)が、ワインを片手に談笑している。



「鏡鵺、玲斗あなた達もお酒ばっかりじゃなくて料理食べれば?美味しいわよ。」



岨聚に言われ、鏡鵺と玲斗も食べ始める。
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