偽悪役者
「なんか同窓会っていうより、媚売り回りみたいッスね。あーやだやだ。」


「大丈夫よ、あんたには縁のない世界だから。まあでも、ああゆう余裕綽々の仮面を剥がしていたぶるのも、結構乙なものかもねぇ。」



「「……………。」」



モニターを見ながらニンマリ笑う轢夲の方が、権力争いよりよっぽど恐怖だと要と羮芻は思う。



「でも静音の言う通り、氷室岨聚の周りにいる4人はかなり親しいな。様付けではなく、呼び捨てだ。」


「雰囲気も他と違って和やかで、本当に同級生って感じですしね。」



12時5分、ほとんどの招待客が来たので篠宮と椎名は総支配人に頼んで受付をホテルの本来のスタッフと交代してもらった。


会場の中へ入って、運営スタッフを手伝いながら様子を伺っている。



岨聚に近付くであろう人物を、静音の覚えている範囲で報告を予めもらっていたおかげで、4人の素性はすぐに把握出来た。



「その4人、氷室岨聚に劣らない容姿ですよねー。いいなぁ、あんな人達が同級生なんて。」


「別に、それで学校選んだ訳じゃないし。」



「そりゃそうだけどさー。やっぱ、いるなら美男美女の方がいいじゃん。」
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