好きだと言ってほしいから
 私と浩太さんの子供。私たちは生まれてきた小さな男の子に『将太』と名づけた。

「ママ~」

 庭先から将太の甘えた声がした。縁側に出ると門扉を開けて将太と浩太さんが入ってくるところだった。小さな男の子は浩太さんの肩に乗って、得意げに手を振っている。浩太さんが笑いながら片手で起用に門扉を閉めるとこちらへやってきた。

「ママ!」

 浩太さんの肩から下りた将太が一目散でこちらへ駆けてくる。私は縁側に膝をついてその小さな体を受け止めた。

「将太、おかえり」

「ただいま、ママ」

 にっこり笑う小さな天使は本当に浩太さんによく似ている。目元が彼にそっくりだ。でもこの低い鼻は私似ね。私はくすりと笑った。

「おかえりなさい、浩太さん」

「ああ、ただいま」

 浩太さんが大きなザリガニの入った水色のバケツを庭に置く。
 玄関に回って靴を履いて外に出た私は、網を受け取り倉庫にそれを片付けた。

「将太、ちゃんとザリガニを大きいバケツに移さないとだめよ」

「はーい!」

 おじいちゃんとなった私の父に抱きついていた将太が、小走りでこちらへ戻ってくる。浩太さんが倉庫から銀色の一回り大きなバケツを取ってくると、将太はそこにザリガニを移した。
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