生徒だけど寮母やります!2




その後


元々協力するという話ではあったからだろう、彼女は弁護士として景たちの話を真剣に聞きいてくれた


そして実は市河家から帰る直前、シヅキから九雷光に対する言付けの手紙を預かっていたのだが、これが彼女からの信頼を得るのに大きく役立った



手紙に書かれていた内容は大きく分け

・小高爽馬と市河家預かりの小高隆馬を保護した人物は笠上景ではなく市河紫月である。保護理由は父親から息子への肉体的また精神的な虐待の疑いである。

・息子への虐待や、犯罪への関与の可能性がある妖術結社幹部の小高公利(コタカキミトシ)に対する捜査を要請したい

ということの2つだ


彼女は妖術結社が伊吹グループに不法侵入をしたことなどに関しては関わりがなく詳しくないので述べていないが、市河家として確認できた爽馬の妖術結社における不遇また妖術結社一部の悪質性の高さを綴り、少しでも彼の助けになりたいと手紙上で主張してくれた


息子である市河をはじめとし、全員で彼女に詳しく状況を伝えたことが吉と出たようだ



九雷光は30分程かけて爽馬たちから聞いた詳しい状況を自ら事細かに紙にまとめ終えると、しばらく深く考え込んだ


「んん.....」

彼女が睨む白紙だったそれにはびっしりとメモが書き込まれている


何がそこまで考えさせているのか



聞くまでもなく、彼女は真剣な顔付きで切り出した



「人も証言も十分に揃ってる。あなたたちがしようとしてること____伊吹グループ不法侵入の犯人を特定して、犯罪に強制的に関与させられた爽馬くんたちを組織から解放すること____きっとなんとかなるわ。大丈夫、安心して大人に任せてね。ただ.....」


言いかけて、表情が曇る

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