真夜中の恋人
「ナツ、おいで」

タカヤの声が鼓膜に響いても、わたしは動けずにいた。

……イヤなの。お願いだから、今夜はわたしに触らないで。
だけど、そんな言葉には口に出来ない。

「……先に、シャワーを浴びてくるから」

時間稼ぎにもならない言葉を呟いてみたけれど、タカヤはそれを赦さなかった。


「ナツ」

タカヤはソファーから立ち上がると、あっという間にわたしとの距離を詰める。

わたしの腕を掴むと、自分の胸に引き寄せて。それから、無理矢理わたしの顔を上に向けた。

「何があった?」

見上げるタカヤの表情は、どことなく険しくてまた泣きたくなってしまう。

「何も、ないから」

そんな見え透いた嘘を吐くわたしをタカヤは見下ろしたままで「これは、どうした?」と、わたしの胸元に指先で触れた。





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