真夜中の恋人
気が付けば、タカヤにしがみつくようにして立っていた。

タカヤの唇が、ゆっくりと離れていく。

目で追うようにタカヤを見上げると、何故だかタカヤは困ったように微笑んで、それから、ポツリと言葉を落とした。

「ナツは、どうしたい?」

「…………」

ただ、傍にいて欲しい。
だけど、彼が望んでいる言葉は、きっと違うから。


「……抱いて」

タカヤの黒い瞳を見詰めて答えた。

わたしは今、どんな顔をしているのだろう。
タカヤに触れられるのは、イヤじゃない。

でも、今は……。


「帰るよ」

「え?」

どうして?という言葉は飲み込んだ。

タカヤが次の瞬間には、わたしに背中を向けてしまったからだ。

このまま、一人で居たくない。
そう思ったわたしは、出て行こうとするタカヤの袖を咄嗟に掴んで引き止めていた。






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