真夜中の恋人
友達だったら、こんな場合喜んであげるべきなんだと思う。
だけど、今のわたしの心境はそれどころじゃない。

「じゃ、またね」と手を振って出て行こうとするミカコちゃんを「待って!!」と呼び止めていた。

わたしの声に振り向いたミカコちゃんは、バツが悪そうにお財布からお札を取り出すと、それをわたしに握らせて

「これ、わたしの分ね」と微笑んで、何事もなかったように出て行ってしまった。

「…………」

お願い、待ってよ。……そんな、うそ、だよね?


スツールに座り直して、放心状態でお札を握りしめていた。

夜景が次第にぼやけていく。これからのことなんて、何も考えられなかった。

まさに天国から地獄に突き落とされた気分だった。



「そんな神妙な顔をして、どうしたの?」

自分に話し掛けているとは思わずに何も答えずにいると、隣からクスクスと笑い声が聞こえてきた。

男性の低い声だった。

……もしかして、わたしのこと?

ふと、その声の主に視線を走らせると、ロックグラスを手に微笑んでいる男性と目が合った。


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