真夜中の恋人
「何か飲む?」
「……貴方と同じものを」
そう答えると、彼は困ったように笑った。
「これ、スコッチだけど、飲める?」
正直、スコッチと言われても、よくわからない。
「何でもいいんです」と言うと、「じゃ、これを」と彼はバラのラベルのボトルを指差した。
一杯のつもりだったのに、結局は、彼が「出ようか?」と言うまで付き合ってしまった。
帰る家はないし、時間を気にする必要もなかった。
朝まで時間を潰せる場所を探すのも面倒で、ずるずると居座ってしまったけれど。
これからのことを考えると、また不安になっていく。
「大丈夫?飲み過ぎたかな?」
「いえ、大丈夫です」
気遣ってくれる彼に、微笑んで見せる。これ以上、彼に甘えるわけにはいかない。
彼は、わたしとミカコちゃんの飲食代まで支払ってくれたのだ。