真夜中の恋人


   
どうしてこうなったのだろう。

期待していたのか、それとも諦めていたのか。
高層マンションの一室で、わたしは彼に抱かれた。

逢ったばかりの名前も知らない人と身体を重ねるなんて、今までのわたしでは想像も出来なかった。


彼の無駄が無い動きに、わたしの身体は戸惑いながらも従順に反応していく。


「あっ、イヤ」

どうして、こんなに簡単に感じてしまうのだろう。

身体を捩って逃げようとすると、彼はピタリと動きを止めてわたしを見詰めた。


「無理強いはしない」

あくまでも優しく、わたしの気持ちを尊重するように。

彼に組み敷かれているわたしは下着姿なのに、彼はネクタイさえも乱れてはいない。

それがなんだか口惜しくて。
身体を起こして、その唇にキスをした。

もっと、酔っていればよかった。朝になったら、何も覚えていないぐらいに。




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