真夜中の恋人
 



「何を考えている?」

わたしの首筋にキスをしながら、タカヤがつぶやく。

「初めて逢った日のことを思い出していたの」

そう答えると、タカヤは「ああ」と相槌を打って、それから、クスリと笑った。


「じゃ、今夜は少し付き合ってくれる?」

わたしの手を引いて寝室を出ると、ソファーに座らせて、手早く準備を始める。

タカヤはトレイを手にわたしの隣に座ると、慣れた手つきでロックグラスに氷を入れウィスキーを注いでいく。
その様子をぼんやりと眺めていた。

数分前まで情熱的なキスをしていたその唇は、今は固く閉ざされている。

骨ばった長い指がロックグラスを持ち上げて、わたしにそれを握らせた。

そして、コツンとグラスを合わせる。

「乾杯」




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