真夜中の恋人
タカヤがわたしを連れてきた理由なんて考えもしなかった。
ただの気紛れか、女性同伴の必要があったのか、その程度のものだと思っていたから。
レストランの中に入ると、既に砕けた雰囲気で皆楽しそうに談笑していた。
立食パーティ形式で見た目にも鮮やかで美味しそうな料理が並べられている。
テーブル席も用意されていて、誰でも気軽に食事を楽しめるようになっていた。
「タカヤさん、お久しぶりです」
「ご無沙汰しております」
「また今度、ゆっくり」
「ええ、是非」
「タカヤ社長」
「ああ、お久しぶりです」
歩く度に声をかけられるタカヤの隣でどうすればいいのかもわからずに、わたしはただ微笑んでいた。
チクリチクリと視線が突き刺さっていくみたい。居心地が悪くて、次第に表情が固くなっていく。
……やっぱり、来るんじゃなかった。
タカヤは、わたしを誰にも紹介しない。
腕を組んで隣を歩くタカヤの存在が、とても遠くに感じて悲しくなった。