真夜中の恋人
タカヤが微笑みながら、真っ直ぐにわたしに向かって歩いてくる。
それだけで、なんだか幸せな気持ちになった。

お願い。もう少しだけ、一緒にいさせてね。
迷惑がかからないように、時期が来たらタカヤの前から消えるから。

それまでは……。

タカヤを見詰めていると、脇から現れた一人の女性がタカヤに近付いていくのが見えた。

綺麗な人だなと、なんとなくその女性に視線を移した。


「……なっ?!」

その次の瞬間、わたしは衝撃で頭が真っ白になってしまった。

上品な長いストレートの黒髪を揺らして、タカヤに声をかけるその横顔。

その人は……。


どうして、ここに?
タカヤと知り合いなの?


間違いない。

洗練された大人の雰囲気に包まれたその女性は、間違いなくわたしの姉だった。

姉はタカヤと言葉を交わしている。タカヤが連れがいると言ったのだろうか。姉がわたしをチラリと見た。


「……ッ」

姉と目が合った瞬間、わたしの心臓はドクンと大きな音を立てた。

姉が、確かにわたしを見た。

それなのに。
姉はわたしを一瞥すると、何事もなかったようにタカヤから離れていった。

……まさか、わたしに気付いてないの?


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