エリート医師に結婚しろと迫られてます


「あれ?美月は?」

戻ってみると、美月の姿がなかった。
いたのは相沢さん一人だけ。


「君の友達は、用事があるって帰ったよ」

相沢さんが、突っ立ってる私の背中に腕を回した。

大丈夫か?って言いながら、どさくさに紛れて抱きしめられた。

止めてくれ…酔いが回る…気持悪。

うっ…

なんだっけ…そうだ。美月だ。
「美月が?そんな…」一人で帰るわけない。


「俺が送るからっていったら、お願いしますって。大丈夫?そんなに酔ってたら歩けないだろ?」
その前に、離れてくれないかな。

抱きしめられたって、歩けない。


「いえ。結構です」

彼の腕を振りほどき、バッグの中をあさった。

電話を取り出して、かけようと思ったら、ひよいっと横から取られた。


「ちょっと、それ貸して」
貸してじゃなくって、無理やり取り上げたじゃないの。


「えっ…」何するのよ。

彼は、何か入力して携帯の画面を
私に見せた。
「ほら、これが俺の番号」


「電話返してください」


「だめ。俺達も、場所変えようか」

相沢さんが背中を押して店から私を追い出そうとしている。

美月の姿を探したけど、どこにもいない。


「ん…でも、私もう飲めない」


「じゃ、休めるところに行く」


「なんですか、それ」
ぐいっと、引き寄せられて相沢さんの体に密着させられる。

経験のない私でも…これは不味いと思う。
お持ち帰りってやつだ。


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