エリート医師に結婚しろと迫られてます
「浅倉じゃん…」
私は、霞が関にある東京家庭、簡易裁判所の合同庁舎に立ち寄って庁舎を出ようとしていた。いつ来ても気に滅入る場所だ。
「おい、浅倉麻結子!!」
フルネームで名前を呼ばれたのは、久しぶりだった。
どこ?
聞き取れないほどだった声が、段々大きくなり、いつの間にかフロアに響いてる。
「なんだ、潤也か」
前ばっかり見てきょろきょろしてた。
肩を叩かれるまで、後ろに居たのに気づかなかった。
彼は、パリッとしたスーツに身を包みこざっぱりしていた。
「何だとは、酷いな。こんなとこで何してるんだ」
「何してるも何も…仕事に決まってるじゃないの」
彼は、へえ、ちゃんとしてるのって目で、上から下まで私を見る。
私は暇つぶしに抱えてた「司法の窓」(裁判所の広報誌)をさりげなく後ろに隠す。
こんなの持ってると、まるでおのぼりさんみたいだ。
「用事済んだのか?」
「うん…」
「じゃ、そこで待ってろ。すぐに終わるから」
待ってろ?
昔から、よかったら、ご一緒しませんか?何ていうタイプじゃなかったけど。
待ってろって何よ。