エリート医師に結婚しろと迫られてます
「本当よ。兄の後輩なの。彼」
「う~ん」
腕組んだまま唸ってる。
潤也は、苦々しい顔をした。彼にとって兄は金持ち以上に生けすかない相手だ。
「いや…あいつがお前の言ってるような、単なる医者なら、そうかおめでとうって言うけど、相手は、あの森谷裕貴だろ?
止めておけ。お前にはあの、兄貴以上に荷が重過ぎる」
「そうかなあ。潤也も私なんかが横にいるより、ジュリさんっていうモデルさんの方が、私よりも相応しいと思う?」
荷が重過ぎるって、そういうこと。
私が荷物なのか、森谷さんのほうが荷物なのか…
文脈上は、私が森谷さんを背負う形を取っている。
彼、そんなに重そうに見えないけど。
そういえば、森谷さんの知り合いは、みんなそう言ったな。
私に彼は扱いきれないって。三原さんはともかく、この確率は酷いなあ。
「麻結、だいたい、やつがどんな人間かわかってないだろ?」
「知ってるよ。優しくていい人だよ」
「ほら、分かってない」
お昼の時間目一杯、話を聞き出そうと粘ったけど、結局聞きたい情報は得られなかった。
まあ…それは、仕方ない。
潤也は、話を聞き出すプロだし、自分が持ってる情報を何の見返りもなく、差し出す訳がない。
何だろう…
考えれば、考えるほど分からない。
寝室のクリスタルの小さな置物の送り主が、私の中で妄想として、広がって行く。
相沢さんが言ってた、真理絵と違ってもっと名の知れたモデルって事よね?
「私には、無理だって潤也本気でそう思う?」
「いや。反対するわけじゃないよ。本当のことはあいつにしか分からないだろ?」
「わかるでしょう?だって、潤也、私のことよく知ってるもの」