エリート医師に結婚しろと迫られてます


そのあとは、あまり手入れの必要ない、植木が植わっていて、あの頃に比べると、花壇もだいぶ可愛そうなことになっている。


ペンペン草に、名もない雑草。

今度の休みに草刈りでもするか。
お祖母ちゃん化けて出てくるかも。


「あの時の花は、パンジーだったと思う。この花壇にもたくさん植わってたっけ」


森谷さん…本当にこの庭にいたんだ。
不思議な気がする。

あの時の少年がいきなり大きくなって現れたなんて。


「覚えてる。その頃おばあちゃん、ずっと庭に出て作業してたから」


「この花壇のこと、覚えてる?」
森谷さんが、もう一度私に尋ねる。




「だから、覚えてますって…」


「やっぱり、忘れてるんだ」


「何よ」

その…悪い事をしたあとのような、人を咎めるような目。



「それも、覚えてないんだ」
彼は、まるで悪人を咎めるように変わる。



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