エリート医師に結婚しろと迫られてます
「からかってなんか、いませんよ。
そんなふうに見えましたか?
だったら、あなたは僕のことが、
まったくわかっていない…」
わかっていない?ですって?
それじゃ、まるでわかって欲しいって
聞こえますけど…ここは、深入りするのはやめよう。
「いえ、あの…ごめんなさい…
怒らせるつもりは、ありません…」
するするっと彼の手が伸びてきて、さっと私の手をつかんだ。
軽くだから、拘束力はないけど。
でも、
何かまずい気がする。
非常にまずい。
「麻結子さん、僕の事、変に思ったでしょ?」
森谷さん、体をこっちに向けてる。手まで握って。
これって、好意を示すって言うより、逃げるなって意味だと思う。
勝手に逃げるなって事よね…
「いいえ。全然?!
変だなんて思ってませんよ」
禅問答みたいで、よく分からないけど。
「そう?」
森谷さんは、不思議そうに
私の顔をのぞきこむ。
今度は、何?
変だって、言って欲しかったの?
ああ…引き返したい。
具合が悪いから、帰ります…
ああ…これもダメ…この人医者じゃん…
目を見せて…から始まって、
脈まで取り出すに決まってる。