From..
「紫音、私さ……」

「百合菜はさ…優し過ぎるんだよ…もっと…強くぶつからなきゃ…」

「でも…紫音は……」

「だから…私のことは…気にしないで…?翔も…うじうじしてる…百合菜は…嫌いだよ?」

「紫音っ…。ホントにありが…とう…」

「百合菜…幸せに…なるんだよ…?任せ…たよ」

「紫音っ!」

そういうと百合菜ちゃんは座り込んで泣き出してしまった。

「任せる何て…言わないでよ…。私…私は…」

俺はそんな百合菜ちゃんの肩に手を貸した。

「…翔も…素直になりなね…?」

紫音の言葉に俺は小さく首を縦に動かした。

その仕種をみた紫音は微かに笑った。

あの、まばゆいばかりの笑顔ではなかったが…それでも今の顔はまぶしかった。

「何で…笑えるの…?だって紫音はもうすぐ…」

「百合菜ちゃん!」

俺は慌てて百合菜ちゃんの言葉を遮る。最期だ何て…認めたくなかったのかもしれない。

「いいの…翔。百合菜の言う…通りだよ。私も…不思議だった…。今も…凄く…落ち着いてる。
私…もう死ぬのにね…」

ドクン。

『死ぬ』という言葉の重みを今知った気がする。

もう…会えなくなるんだよな…。

紫音の馬鹿…。
死ぬ何て…言うなよ…。

涙が出て来たじゃねぇか…。

畜生…止まれよ。
止まってくれよ……!

紫音の顔を…
目に焼き付けたいんだよ

「でもね…?私…分かったんだよ…。皆が…いるからさ…。恐くない。受け入れられる…。皆…ホントに…ありがと…」

「紫音…」

百合菜ちゃんは紫音を
温かく抱きしめる。

「百合菜あったかいね?翔に…似てさ…」

そう言う紫音の顔は…どこか悲しげだった…。
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