From..
「…紫音。俺達は…」

「…雅也?分かってる…よね…?」

そう言うと紫音は弱々しく右手で拳を作った。雅也はその拳に自分の拳を合わせた。

コツン。
聞こえるか聞こえないかくらいの音だったが、

その音は病室に響いた。

「元気でな…?」

「うん…雅也…ありがとう…」

「雅也?それだけでいいのか…?」

「十分だ。俺達は心で繋がってるからな」

…ばーか。泣いてるじゃん雅也。もうちょっと…お前、素直になれよ。

もっと…紫音と話したいんだろ?
かっこつけんなよ。

「…雅也…翔。ごめ…んね?」

「…紫音?」

「…約束…私が破っちゃったね…」

『変わらない私たちでいようね』

昔交わした約束は…皮肉にも…言い出しっぺの紫音が破ることになってしまった。

「馬鹿…何一つ変わんねぇ友情がここにあるだろ?」

雅也は俺に視線を送る。
俺には……雅也のしたいことが手に取るように分かっていた。

俺と雅也は紫音の手の上に手を重ねた。

「ずっと……親友!」

俺達三人の声が…綺麗に揃った。

それはあの時の卒業式の時みたいだった。
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