From..
「俺はあいつのこと嫌いだな……いかにも偽善者って感じでさ」

俺は百合菜に友達と言われてショックのあまり、こんなことを口走ってしまっていた。

「若葉君は…偽善者何かじゃなくてホントの優しさを持ってるんだよ。如月君も若葉君と話せば分かるよ!」

ホントの優しさ…。俺は心の中でその言葉を繰り返す。

ならば…ウソの優しさ。それもありだよな…。

「まぁ…百合菜がそこまで言うなら良い奴なんじゃないか?俺はいつでも協力するぜ」

その言葉に百合菜はありがとうと言って笑ってくれた。

百合菜は気付いていない。今の俺に優しさなどないということ。

若葉がホントの優しさで百合菜の心を惹くなら、
俺はウソの優しさで百合菜を包んでやる。

その日から俺は俺を偽るようになった。百合菜の前では優しい俺を演じたのだ。
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