HE IS A PET.


 それにしても、怜が独り暮らしなんて……心配だ。


「毎日ちゃんとご飯食べてる?」

「うん、大丈夫。食べてる」

「学校サボってないよね?」

「うん」

「淋しくない?」

「うん、平気」


 弱々しいトーンに説得力はまるでない。


「直哉さん、大体毎日来てくれるから。来たら、寝るまでいてくれる」


 あっそう。聞いたら聞いたで、聞かなきゃ良かった気分になる。

「戸田さん」を「直哉さん」と自然に呼び変えている、怜の器用さにも嫌悪感を抱く。

 さすが愛されるペットだ。


「なら、大丈夫だね。じゃあ今日も来るんじゃないの?」

 意地悪く言うと、泣きそうな顔をした。


「咲希さんに、来てほしい」




 最寄り駅から徒歩八分。

 マンションやアパートが建ち並ぶ路地を、慣れた足取りで案内してくれる怜は、とても無口だった。

 ただずっと私の手を握っている。電車に乗る前も、乗ってる間も、降りてからも。

 居心地の悪さに落ち着かない私に、怜は無言で落ち着いた笑みを返す。

 甘えられて、庇護欲に駆り立てられて、気づけば怜の手のひらの上にいる。

 そんな感じがしてならないのは、被害妄想だろうか。


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